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人生脚本について考えよう

人は誰でも、自分の人生における主人公です。優しい世界、殺伐とした世界・・・あなたはどんな世界に生きていますか? そこに、奇跡や慈悲はあるのでしょうか? 正義感あふれるヒーロー、ひねくれたダークヒーロー、涙にくれる悲劇のヒロイン・・・あなたはどんな主人公ですか? では、ストーリーはどうでしょう? コメディ、戦記もの、ホラー、いろいろありますね。さいごに、エンディングは決まっていますか? ハッピーエンドでしょうか? それとも・・・バッドエンドでしょうか?

このコラムでは、「人生脚本」について説明します。 

◆◆人生脚本とは?◆◆

勝者と敗者を比較した図

エリック・バーンの提唱した、交流分析(TA)の中に、「脚本分析」というものがあります。
人は幼少期、「私の人生はこうあるべき」という、「人生脚本」をつくり、そのとおりに生きようとする、というのです。例えば、「あまたの困難に直面しても、それを努力で乗り越えて、最後には栄光をつかむ」という人生脚本を持っている人は、現実の困難に直面しても、これこそ俺らしい生き方だぜ、と全力投入して、本当に乗り越えてしまいます。対して、「頑張りはするけれど、結局さいごは、裏切られて捨てられる」という人生脚本を持っている人は、誰かとうまくいきそうになると、みずからそれを破壊して、バッドエンドを選んでしまいます。前者のようなものは「勝者の脚本」、後者のようなものは「敗者の脚本」と呼ばれます。また、挫折もしないが負けもしない「非勝者の脚本」というのもあります。

さて、この人生脚本は、どのようにしてつくられるのでしょうか?


◆◆幼児決断が脚本の材料になる◆◆

笑っている赤ん坊と泣いている赤ん坊の絵

保護者的な存在から、「○○してはいけません」「○○であってはいけません」といった「禁止令」を与えられたり、「○○してよいですよ」という「許可」を与えられると、 子供はそれに独意の感覚で受け取り、やがて、自分自身やまわりの世界について、一種の「悟り」を得ます。この悟りのことを、「幼児決断」と呼びます。

 

● ケース1では、「世界は優しい」「僕は特別な存在だ」「正直者は救われる」などと決断しています。

● ケース2では、「世界は残酷」「僕はダメな存在だ」「正直者は馬鹿をみる」などと決断しています。

 

幼児決断は、その後の人生に多大な影響を及ぼします。なぜなら、人は、その生涯を賭けて、自身の幼児決断が正しかったと証明しようとするから です。そして、それを証明するための人生脚本を書きはじめ、6歳になるまでに、「わたしはこういう人生を歩むのだ」と、脚本を書きあげると言われています。


~さいごに~

どうでしたか? 自分がどう生きるか、6歳までに決めていたと考えると興味深いですね。脚本分析では、自分がどのような人生脚本をもっているのか知り、意識することである程度変えることができます。また、「再決断療法」といって、幼児決定そのものをやり直す方法もあります。ただし、万能ではありませんし、心の負担も大きくなります。自分の人生脚本を知り、意識して変えられるなら、それが一番かもしれません。

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