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はい、でも、と言う人

交流分析(TA)における「ゲーム分析」というものを紹介します。これはその中でも一番有名な「はい、でも、ゲーム」と呼ばれるものです。こんなやり取り、経験したことはないですか?

女性の提案に対して「はい、でも」と男性がこたえている図

 

姫路「同期とうまくいってないなら、思いきって自分から、ご飯に誘ってみたらどう?」

高尾「はい、でも僕はお弁当がいいので」

姫路「じゃ、いっしょになった帰りにちょっとお酒を飲むとか」 

高尾「はい、でも嫌がられると思うので」

姫路「そんなことない。みんないい人なの! 思いきって胸に飛びこんでみて」

高尾「はい、でも僕に対しては違うと思いますし」

姫路「んもうっ! なんなのッ? せっかくアドバイスしてるのに、ぐじぐじして」

高尾「はぁ、ごめんなさい」


姫路さんがいろいろアドバイスをしているのに、高尾さんは、絶対に賛同しません。「はい、でも」と繰り返しています。ついに姫路さんは、怒りだしてしまいました。こういった、非生産的かつバッドエンドを迎える、決まったパターンのコミュニケーションを、「ゲーム」と呼んでいます。ゲームにはいろいろありますが、これはその中の「はい、でもゲーム」です。

どうしてこのようなことが起こるのか? 詳しく見ていきましょう。

◆◆ストローク◆◆

家族に囲まれて笑っている赤ん坊と、一人でないている赤ん坊の図

幼児というのは、人との関わりを欲しているものです。両親などがポジティブに関わってくれれば最高ですが、なにもしてくれなかったら? 極端な話、「いないもの」のように扱われたらどうでしょう? これは幼児にとって一番辛いことです。無視されるくらいなら、怒られたり、嫌われたり、そっちのほうがマシなのです。幼児はどうにか気を引こうと、イタズラをしたり、困らせたりします。両親が怒って強い感情をぶつけると、幼児のほうは、関わってもらえた、と心の中でホッとするのです。交流分析では、関わり、のことを「ストローク」と名付け、ポジティブな関わりを「プラスのストローク」、ネガティブな関わりを「マイナスのストローク」と呼びます。このストロークが、ゲームを説明する鍵になります。


◆◆ゲームはストロークを得るための手段◆◆

大人になっても、ストロークは欲しいもの。ふと、寂しくなったたとき・・・誰かと深く関わりたい、ストロークが欲しい、と思うことがあります。「さて、ストロークを得ようか」と思いたったとき、無意識に選択する手段というのは、幼児期に自分がやっていたことと同じ手段なのです。幼児期に、みんなを怒らせてマイナスのストロークを頻繁に集めていた人は、大人になっても同じことをやろうとします。

 

高尾さん、姫路さん、の例に戻りましょう。高尾さんは、「はい、でも」と言い続け、姫路さんをイライラさせて、最後には怒らせてしまいました。高尾さんはへこんでいるでしょうが、無意識のレベルでは違います。強いマイナスのストロークをもらえて、嫌な気持ちと同時に一時的な満足感を覚えているのです。ゲームの結果得られた、この複雑な感情は「ラケット感情」と呼ばれます。

◆◆でも、それでいいの?◆◆

あくまで本人が決めることですが、高尾さんも、姫路さんも、貴重な時間を無駄にしたうえ、嫌な思いまでしました。高尾さんは思うかもしれません。「あー、またやっちゃった。どうして僕は、いつもこうなんだろう?」と。もしそうなら、回避すればいいのです。どうやって回避するか? こたえは簡単です。「自分にはそういうゲームをやる癖がある」と知り、注意することで回避できます。

 

また、姫路さんも同じです。姫路さんはいわゆる「お節介」で、高尾さんのような人から、狙われやすいのです。見事、罠にはまって怒ってしまいました。姫路さんも、「自分はそういうゲームの相手になりやすい人だ」と認識し、ゲームっぽいと思ったら、話を中断するとか、「高尾くんはどう思うの?」などと、相手にボールを押しつけることで、ゲームを回避できます。

~さいごに~

どうでしたか? 交流分析には、ゲーム分析の他にも、構造分析、脚本分析、などいろいろな分析があります。今後、そのようなことについてもコラムで書いていきたいと思います。

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