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カッとなってしまう人

心理カウンセリングの場では、「自分に正直になってください」「ありのままの自分を大切にしてください」などと、助言されることがありますが、怒りの感情についてはどうでしょうか? 「俺はカッとなったから、その素直な怒りを部下にぶつけてやったんだ」「パワハラだって知ってても、ムカついたんだし、ありのままの俺をぶつけたんだからいいだろ」などという意見については、どう考えるべきでしょうか? 素直に感情を表現したのだから、素晴らしいことなのでしょうか? それとも我慢すべきことなのでしょうか? このコラムで説明していこうと思います。

◆◆その怒りは本物?◆◆

まず大前提として、人間というのは、自分の心を100%理解しているわけではありません。本当は感じていることを、無理やり抑え込んで無視している「否認」や、本当は感じていないことを、感じたかのように誤認してしまう「歪曲」という心の動きがあります。その怒りが本物かどうか? 調べる簡単な方法として、その怒りをそのまま相手にぶつけたあと、自分がすっきりして幸せな気持ちになれるかどうか? 想像してみてください。もし、すっきりして幸せな気持ちになれるとしたら、その怒りは本物です。しかしそうではない場合、「歪曲」された感情かもしれません。すなわち、本当に伝えたいことは、怒りではなく他のなにかである可能性があります。

【例1】

ひそかに慕っていた異性から、恋人ができたと聞かされ、カッとなって「あんなののどこがいいの?」「今は仕事が大切なときなんだから、そんなことしてる暇ないでしょ」などと、怒りをぶつけてしまった。結果、すっきり幸せになるどころか、嫌な気持ちになった。

本当に伝えたかったことは、「自分もあなたのことがすきだった」ということです。言えば、相手の負担になってしまうかもしれませんが、「実はわたしも、あなたのことが好きだったんだよ」と素直に伝えて、理解を示してもらえれば、たとえ状況が変わらなかったとしても、心はすっきり晴れます。怒りは歪曲された偽物の感情なので、いくらぶつけたところで、幸せな気分にはなりません。


 【例2】

たまにはおまえが子供を迎えにいけよ、と夫に注意された翌日、定時ぎりぎりで、部下の子からミスをしてしまったと報告され、カッとなって「何回言えばわかるの?」「わたしがずっと隣で見てなきゃだめ?」「いい加減にしてよ」などと怒りをぶつけてしまった。結果、すっきり幸せになるどころか、ずっとイライラが続いている。

 

本当に伝えたかったことは、「子供を迎えにいかないと夫に注意されるから、定時ぎりぎりで言われると困る」ということです。それを素直に伝えれば、相手も理解しますし、自分も正直な事情を話せてすっきりします。怒りは夫に注意される恐怖や、弱みを見せたくない気持ちなどが歪曲されて出てきた偽物の感情なので、怒りをぶつけたところで、すっきりしません。また、部下の子との関係もおかしくなります。


◆◆大切なのは怒りの奥にある本心を知ること◆◆

人間、ときには怒りを示すことも必要ですし、純粋な怒りというのも、もちろん存在します。しかし本当は、悲しみ、不安、恐怖 などが本心であり、それを認めない結果、怒りに歪曲されて出てくることも多いと感じています。それを知らずに怒りをぶつければ、やられたほうは「八つ当たり」ですし、理解もされません。自分も、本当に伝えたいことは違うことなので、モヤモヤしたりイライラしたりします。

怒りを感じたら、一度立ち止まって、その怒りが本物かどうか? 考えてみてください。

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