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交渉で使えるYESセット

最近、Confessioにも営業の電話というのが多くかかってきます。広告を出さないか、というものもあれば、SEO関係であったり、ビジネスの発展をうたうものであったり、内容はおいておくとして、それらの営業電話は必ずといっていいほど、YESセットを使っています。意図的にやっているのか、長年の経験からくるものなのか、どちらかはわかりませんが、おもしろいな、と思ったので、このコラムでYESセットについて紹介したいと思います。交渉で使える便利なトーク術ですが、悪用目的で使う人もいるので、知っておくと引っかからずにすみます。

◆◆YESセットってなに?◆◆

相手に「はい(YES)」と繰り返しこたえさせることで、自分に対して好感を抱かせたり、「いいえ(No)」と言いづらい雰囲気をつくって交渉を有利に進めたりするトーク術です。下の例を見てみましょう。

お見合いの席で、男性が3つの質問をして、女性が「はい」と3回こたえている図

お見合いパーティーの場面です。こんな会話をしています。

 

男性「人が多くて、ちょっと暑いですね?

女性「はい」

男性「こうして初対面の人と話すと緊張しますよね?」

女性「はい」

男性「でも、いろいろな人と話せるのは、こういう人もいるんだってわかって、いいですよね?」 

女性「はい」

 

この男性は、女性に対して3つの質問をしていますが、どれも当たり前で、たいていの人は「はい(YES)」とこたえるであろうものばかりです。当然ながら、女性は、「はい(YES)」「はい(YES)」「はい(YES)」と、こたえています。

一見、意味のない会話に見えますが、実は違います。人というのは「一貫性」を保とうとする習性があり、その習性を2つの意味で利用しているのです。

◆◆1. 心と行動の一貫性◆◆

思っていることとやっていることが違う、というのは気持ち悪いものです。そういう状況になった場合、人は一貫性を保とうとします。すでに行動を起こしている場合は、心のほうを行動に合わせようとするのです。すなわち、「はい(YES)」「はい(YES)」「はい(YES)」と、相手に賛同する行動を示すと、心のほうも、相手に対して賛同的になり、「この人とは気が合う」のように変わっていきます。これを極端に利用しているものの中には、宗教の勧誘があります。「信じなくてもいいから、毎日こういう儀式をしてくれ」のように依頼し、それを実践させれば、「信じていない心」と「いかにも信じているかのような行動」で一貫性を保てなくなり、心のほうを、体に合わせようとするのです。「信じなくてもいいからやってくれ」という言葉の裏には、そういう意図がある可能性もありますので、違和感を覚えたら、一度立ち止まりましょう。

◆◆2. 過去と今との一貫性◆◆

誰でもそうですが、「さっき言ってたことと違うじゃないか」というふうに言われたり、思われたりしたくないものです。人というのは、過去の自分と、今の自分で、一貫性を保とうとします。過去の行動で、「はい(YES)」「はい(YES)」「はい(YES)」と、相手に賛同する行動を示すと、次も賛同しなければならないような、そんな気分になるのです。営業などは、こういった法則をよく利用します。

「お客さんが増えたらいいですよね?」「増えるためにはホームページは重要ですよね?」「重要なものが人の目につかなければ困りますよね?」と、絶対に「はい(YES)」しかこたえない質問をしたあとで・・・「弊社の扱っているサービスを使うと、御社のページをもっといろいろな人に見てもらえます。興味ないですか?」と、本題をもってきます。すでに3回、「はい(YES)」を繰り返しているので、ここで「いいえ(No)」と言っては一貫性がなくなるので、自然に「はい(YES)」とこたえるでしょう。すると、「では、営業マンが資料をお持ちしますので、日程を・・・」というように交渉がはじまるのです。

~さいごに~

どうでしたか? ちょっとしたことで、賛同を得やすくなるのなら、YESセットは便利かもしれません。ただ、万能な道具ではありませんし、使い過ぎには用心です。お見合いでも、営業でも、無理やりに成功させてしまえば、あとで後悔すると思います。お見合いだったら「人の中身」、営業だったら「商品」、がトーク術よりも大切です。ただ、どうも自分自身や、商品の価値を生かしきれていない場合、こういったことが解決策になるのかもしれません。

 

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